column02
子どもの内なる力を引き出す、モンテッソーリ環境という舞台
子どもを育む「環境」とは
モンテッソーリ教育における「環境」とは、ただの教室や設備を意味するのではなく、考えられて整えられた空間のことを指します。子どもが自らの力で学び、成長するために綿密にデザインされた特別な空間です。
マリア・モンテッソーリが述べたように「環境が子どもをつくる」とされています。子どもは、五感をフル活用し自らの手で世界に触れ、感覚を通して経験を積み重ねることで、人格や知性、意志を育んでいきます。このプロセスを支える環境は、子どもの“自発性”や“内的エネルギー”を尊重し、自然と行動を促すものでなければなりません。
モンテッソーリ環境の特徴のひとつに、「子どもサイズ」の構成があります。家具、道具、教具、すべてが子どもの身体に合うように設計されており、子どもが大人の手を借りずに自由に使えるようになっています。これは、子どもが自分自身のニーズに気づき、自分の意思で行動できるようになるための第一歩です。「手を使って学ぶこと」はモンテッソーリ教育の中心であり、手の活動が思考の発達と深く結びついているという哲学に基づいています。
大人でも、庭仕事用の大きなハサミで紙を切るのは難しいように、子どもにとって、扱いに慣れていない大き過ぎる道具を使うのは大変なことです。身の丈に合わない道具を使うことを強要されると、子どもは「うまくできなかった」というネガティブな体験を繰り返してしまうかもしれません。
マリア・モンテッソーリが述べたように「環境が子どもをつくる」とされています。子どもは、五感をフル活用し自らの手で世界に触れ、感覚を通して経験を積み重ねることで、人格や知性、意志を育んでいきます。このプロセスを支える環境は、子どもの“自発性”や“内的エネルギー”を尊重し、自然と行動を促すものでなければなりません。
モンテッソーリ環境の特徴のひとつに、「子どもサイズ」の構成があります。家具、道具、教具、すべてが子どもの身体に合うように設計されており、子どもが大人の手を借りずに自由に使えるようになっています。これは、子どもが自分自身のニーズに気づき、自分の意思で行動できるようになるための第一歩です。「手を使って学ぶこと」はモンテッソーリ教育の中心であり、手の活動が思考の発達と深く結びついているという哲学に基づいています。
大人でも、庭仕事用の大きなハサミで紙を切るのは難しいように、子どもにとって、扱いに慣れていない大き過ぎる道具を使うのは大変なことです。身の丈に合わない道具を使うことを強要されると、子どもは「うまくできなかった」というネガティブな体験を繰り返してしまうかもしれません。
秩序がもたらす安心感と集中力
モンテッソーリ教育では、子どもたちが無理なく活動できるよう、環境に「秩序」をもたらすことを大切にします。教具[※]はそれぞれ決まった場所に整理され、子どもは使ったものを元の場所に戻すことを学びます。教具の配置も、簡単なものから難しいもの、セクション分けなど、大人によって整えられています。このような秩序ある環境は、外の世界と自分の内面の秩序を一致させ、子どもの心に安定感と集中力をもたらします。特に「秩序の敏感期」にある幼い子どもたちは、整った環境の中で安心感を得て、自信を持って行動できるようになります。※教具(きょうぐ)・・・子どもの学びや成長を助けるために使う教材や道具のことを指す。特にモンテッソーリ教育では、ただの「おもちゃ」ではなく、子どもが自ら学ぶために意図して作られた特別な道具のことを「教具」と呼ぶ。
子どもは環境の変化に非常に敏感です。物の配置が変わったり、先生の髪型が変わったりといった小さな変化にもすぐに気づきます。そのため、教具の配置を頻繁に変更すると、子どもたちはその度に環境に慣れるというプロセスから始める必要が生じ、心の負担になってしまう可能性があります。一方で、適度な環境の変化は重要ですので、変更する場合は、一定の期間を決めて更新することが望ましいでしょう。
自由と責任を学ぶ場
さらに、モンテッソーリ環境は「責任と自由」を学ぶ場所でもあります。子どもは決められたカリキュラムを受動的に受けるのではなく、自ら活動を選び、自分のペースで取り組みます。しかしこれは「好き勝手に過ごす自由」ではありません。周囲の人やものに配慮しながら、自律的に行動する自由、それがモンテッソーリの考える自由です。この「責任ある自由」の体験は、子どもの自己肯定感を高め、内面的な成長を促します。教室には明確なルールがあり、子どもたちにはしっかりと共有されます。ルールの範囲での活動において、大人は見守り、必要以上の声がけはしませんがルールの範囲を超えた際には注意をします。子どもたちは、自由に伴うルールの大切さや他者を尊重することの大切さを学びます。
「人」を通して育まれる社会性
モンテッソーリ教育における環境には、「人」が含まれています。子どもの発達段階を深く理解した教師(ガイド)は、教える存在ではなく、観察し、必要なときにそっと手を差し伸べる存在です。また、異年齢の子どもたちが共に生活する縦割りのクラス構成は、自然な社会性を育みます。年上の子は年下の子を助ける中でリーダーシップと責任感を育み、年下の子は年上の姿から学び、憧れを持つことで成長への動機づけを得ます。このように、モンテッソーリ環境は子どもを中心に据えながらも、あらゆる要素が緻密に設計されています。その目的はただひとつ。子どもが「自分でできるようになる喜び」を通して、自己を確立し、他者と調和しながら生きる力を育むことです。
現代社会では、子どもを過保護に育てたり、早期教育に熱心になったりする傾向があります。しかし、モンテッソーリ環境は、子どもを「信じて待つ」という姿勢を貫きます。子どもは本来、育つ力を自らの内に秘めている存在です。環境がそれを妨げるのではなく、そっと支えることができたとき、子どもは自分のタイミングで、自分の人生を歩み始めます。子どもの発達段階を理解することで、焦らず見届けるゆとりが生まれます。私たちに必要なのは子どもの成長を信じる心と、待つことのできる「大人」としての心の余裕なのかもしれません。
モンテッソーリ環境は、「子どもの心身のリズム」を尊重する、静かで力強い教育の土台です。大人は、この環境の中で、子どもたちが自らの力で羽ばたいていく姿を見守る幸せを受け取ることができるのです。
執筆 モンテッソーリスポーツジャパン代表 澤 彩夏
一般社団法人 ポテンシャルスポーツ協会